健さんと言えば?
私は高倉健さんです。
映画を観るようになって、20数年になりますが、健さんの作品に刺激を受けてきた私です。
実は、若かりし頃の健さんは、任侠路線の作品が多かったようです。
映画が娯楽であった頃、任侠的な生き方に、一種の憧れやカタルシスを感じた時代が、戦後という時代であったのかもしれません。
その時代の健さんについて余すことなく語っている本書です。
また、健さんの素顔に関しても、余すこと語っています。
私の知っている健さんは、出る作品を選び、出るメディアやCMの内容も吟味され、イメージと演出を考慮している健さんです。
その前の、娯楽のヒーローであった健さんのことは、オンタイムでは知っていません。
任侠路線から、セリフに頼らず立ち居振る舞いで演技をされるようになった健さんに魅力を感じたものです。
この本は、健さんの魅力の一端を、教えてくれました。
不器用さゆえに、自分自身の方法論でイメージを保ちながら演技を極めていった健さん。
朝が意外に弱い健さん。でも、それには映画にかける思いがあって、朝が遅くなっていたとのエピソード。朝がなぜ弱ったのかの理由を知ることで、高倉健という役者を知ることになります。
ロケ地での過ごし方や、撮影がないときの健さんのエピソードを知ることで、ますます、健さんの格好よさを知ることになります。
健さんにまつわる都市伝説の真実をも語っています。
私が知る健さんは動乱以降の健さんですが、なぜ、健さんが健さんとして認識できるのが、この本を通して理解が深まりました。
大切な人との関わり方も、男 高倉健です。
プライベートでは、珈琲を楽しみながら、語り倒す健さん。
ロケ地のファンや共演者との交流も大切にする健さんです。
気づかいや演技という道を究め、イメージをも意識しながら私生活を過ごした健さんの素顔を知ることができます。
まさに、現代日本においては、最後の映画スタアなのが、高倉健ですね。
高倉健さんの素顔に触れたいのならば、本書は間違いなく、おすすめの一冊です。
健さんを探して、日刊スポーツの相原斎さんの力作です。
秋の夜長におすすめです。