先日、観てまいりました。
いい映画です。
山田洋次監督の渾身の作品。
井上ひさしさんへのオマージュの作品。
井上さんへのリスペクトのためか、舞台仕立てのような演出です。
長崎を舞台にした、原爆に絡めて一人の母親の戦後を描いた作品。
吉永さんが、美しい日本の母親を演じています。
着物姿と後姿が美しい…
歩き方も、着物を引き立たせる、吉永さんの独特の歩き方です。
すり足のような…
また、二宮和也さんとのセリフの掛け合いは、まるで舞台のような掛け合いです。
二宮さんも、相変わらず、いい演技をされています。
セリフの語り口がいいんです。
優しくて、穏やかな感じですが、意志と憂いがハッキリと伝わってくる語り口。
いい役者ですね。
また、山田監督の前作でも、いい演技をした黒木華さんも、今回、いい演技をされていますね。
いい役者が、山田組には揃っています。
映画としては、最初のインパクトがかなり強烈です。
心が寒くなるような入りでした。
あの強烈さが、その後の話に入りやすくするためには必要だったのでしょうね。
そこからの話は、人の心の変遷と、人間の心の真実を、うまくオブラートとファンタジーに包んで演出されていました。
各所に文学的な演出がさりげなくほどこされていましたね。
最近の山田さんの作品の特徴です。
「小さいおうち」と対比してしてみると面白いかもしれません。
この場面は?ここから言いたいことは?
というのが、絵の中にあります。
やはり、現代人は幸せなんですね。
そのことに気がつかせてくれます。
もっとも、映画館で観るからこそ、この作品の良さが伝わります。
テレビの画面からは伝わらないかと思います。
この作品も映画館で観る作品です。
きっと何かを感じますね。
ぜひ、映画館でご覧ください。
日本のいい映画です。