「海よりもまだ深く」を観て?

公開されたばかりの、こちらを観てきました。

是枝監督の渾身作。

是枝監督の男目線がビンビンの「海街diary」も良い作品でしたが、こちらも是枝監督の描写が光る作品です。

同じ海ですが、まったく違う海になっています。

伝わるものがある作品。

感じて、考えさせられてしまう描写。

余韻があって、観終わっても、しばらくは、なんだろう、どうなんだろう?と頭の中で、色んなことを考えさせられました。

余韻がある作品です。

余韻は観る者によって違ってくる。

これが響く映画というものですね。

人生?

家族?

その答えを問いかけてきます。

経験豊富な役者さんたちの秀逸な演技と是枝監督の独特な表現で、ビシバシと問いかけてきます。

売れないバツイチの小説家、食うために探偵稼業をしている阿部さん演じる篠田良多。

父として、夫として、息子としての、三つの立場をうまく演じ切っている阿部さんです。

夢を追い続ける男なのですが、夢、破れているのか、それとも夢の途中なのか、大器晩成なのか、という生き方。

生きるということ、生活苦、ギャンブルと夢、バツイチ、未練、親のしがらみ、介護、親子の情、やりたいこと、つまり夢に絡めて現実を問いかけてくる作品です。

良多の絶妙な設定が、多くのことを問いかけてきてくれます。

背は高いけれど、いまいち、やりきれない男がうまく見せてくれます。

人生ってやつを、見せています。

売れない金に困っている書くことを稼業にしたい男が下衆な探偵稼業を通して見た人生と良多の人生の対比を通して、様々なことを訴えてきます。

清瀬の旭が丘団地が舞台というのも絶妙です。

是枝監督は清瀬を舞台にしたくはなかったとのことですが、是枝監督自身が暮らした街だからこそ、うまく表現できています。

是枝監督、旭が丘団地で28歳まで暮らしていたようです。暮らしていたからこその台詞も多くありました。リアリティーさの中に、ふっ…と笑ってしまう台詞がありますね。

是枝監督の作品には欠かすことのできない樹木希林さん演じる良多の母親が、すっとぼけているようでいて、人間くさく、親としての思いも伝わる役どころです。樹木希林さんの独特の表現力が話をのどかものにしてくれています。

樹木さんが、男として、息子としての良多の人間性をうまあく引き出してくれています。

親だから?

親って?

をさりげなく演技しています。

良多の元妻の真木さんも、いい感じです。

女という生き物を、真木さんや、樹木さん、その他の登場人物の小さなストーリーに絡めて表現しています。

生き続ける力、女としての楽しさと喜びって何だろう?

そこも問いかけてきます。

別れた家族が台風の夜に良多の実家に集うことで人生ってヤツを濃厚に考えさせられる話に仕上げています。

台風の夜に何かが起きます。

台風一過に何を思うのかは人それぞれ。

多くの考えさせられる名台詞が目白押しです。

台詞どおりではありませんが…

みんながなりたい大人になれるわけではない。

別れたけれど終わっていない…

しちゃったの?

幸せは諦めることで得られるもの!

過去に縛られていては前に進めない!

海よりも深く人を愛してしまったら幸せにはなれるわけではない!

また海よりも深く人を愛したことがある人はほとんどいない!

だからこそ、いまがある!

これらの台詞を、演出や設定、演技で、観るものの心の中に、余韻のように、そっと置き土産として残してくれる作品です。

一つ一つのシーンと台詞にしっかりと意味があります。伏線も張られています。一番の伏線はラストシーンかもしれませんね。

大きな置き土産を、そっと残してくれる是枝監督の手腕に感謝です。

素敵な作品との出会いに感激です。

ぜひ、映画館でご覧になって余韻を楽しみながら人生に思いを巡らせてください。

余韻が、じわぁ〜といつまでも残っていますよ。

何を思い、何を考えるかは、その人それぞれです。

お楽しみを!

まさに、是枝ワールド、監督の確信犯の作品に仕上がっています。

色んな発見を楽しめると思います。

私へのお土産は、良多が無理をして野球用品を息子に買ってあげるシーン…自分も父親に無理を言って、買ってもらったことを思い出しました。

多分、刺さるシーンは人それぞれだと思います。

大人でも、若者でも、子どもでも、年輩の方でも、何かを感じて、考えてしまう映画になっています。

ぜひ、映画館でご覧ください。

私的には名作の一本です!

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