いま そこにいる君は十字路が見える

これって、なぁに?

と思う方が多いでしょう。

北方謙三さんの最近のコラムです。

読んでみました。

おそらく新潮社の雑誌への連載ものをまとめたものなのだと思います。

正直に書くと、私は北方謙三さんのファンです。

ですが、最近の歴史ものは、読みたいとは思えないんです。

かつての、ハードボイルド路線のもの。

ホットドッグプレスの試みの地平線なんかが好きでした。

もう30年以上前のことですね。

中学生の頃、その刺激的、挑戦的な言葉の羅列を楽しみつつ、負けねえぜ、と思いながら読んだものです。

悔しかったら大人になってみろよ?

というような語り口調のコラムや人生相談のようなものを書かれていました。

現在の北方さんは、ほぼ七十に近いお歳。

やはり年齢を感じさせます。

いまでは大御所の風情もありますが、かつてはやんちゃなおやじという感じを無理をしながらも演じていたり、表現をしていたように思います。

よく、童貞を捨てろと書かれていました。

それで全て解決するんだ、ぐらいの書き方をしていました。

いまにして思えば、全てを包摂する表現で、意味もわからなくはないのですが、当時はそれで問題解決するんかい?

このおやじ、本当にストリートファイトなんてするんかい?と思ったことも多かったですね。

いまのコラムを読めば、表現であっただけのことであったことが理解ができます。

あの頃から、元来は真面目なおやじで、格好をつけているだけだろうな、とは実は思っていました。

意外に真面目なんだろうな…

そんなことは、文章からも透けていましたね…

いまの方が初老のおじさんの本音チックで格好をつけていない部分と格好をつけている部分が明確にわかるので、読んでいて面白いコラムになっています。

若い世代に語りかけるようなコラム。

かつての試みの地平線が熟成させるとこんなコラムになるんだな?

そんな感じのコラムです。

個人的には、ブラディードールシリーズや神尾シリーズの続きを読みたい。

本当にこんなカーチェイスってあるんかい?

そうやって、人って殺されるのか?

精神まで壊して、殺していくのか?

人間って、そんな生き物?

そんな生き方ってあるのかな?

と思いましたが、いまの北方さんが書くブラディードールシリーズは読んでみたいな…

とこのコラムを読んで、北方さん読みながら育った私は思うわけです。

いまの生活の一面を、格好つけたり、正直に書かれていたりとかして、本当はこんなおやじだったんだ…

やっぱりそうだったんだ…

と思える内容です。

忘れ物を取り戻した?

そんな感じになれるコラムです。

垣間見える私生活が距離を近く感じさせてくれますね。

かつての試みの地平線を書かれていた頃のエピソードも詰まっています。

いまは肩肘を張らない自然体と思いきや、ここまで上がってこい口調も織り交ぜておられるので、上ってやろうじゃねえか、とも思わせてくれます。

興味のある方はご一読をされてはどうでしょうか?

ところで書いてくれないかな?

また、いまの心境でハードボイルドを…

実は、そう思っている同世代は意外に多いと思います。

いい加減、歴史小説からはご卒業されては?

と思いますが、きっと熱い思いがあって書かれている。

やっと書きたいものを自由に書けるようになったと思われているのでしょうね。

書きたいものを書いているおじさんは素敵です。

これからの北方謙三さんに注目です!